ServiceNowではじめるIT資産管理(2)マスタ登録
2017年11月5日 公開ServiceNow導入のベストプラクティスは?
ServiceNowには、予めITSMに有効な様々なアプリケーションやモジュールが数多く用意されており、初めて触れる方には、どこから入れば良いのか、何をどのように使って行けば良いのか、よく分からないかと思います。そこで本コラムでは、一般的な業務の流れに沿って、最小現必要と思われる項目・機能に限定して、ご紹介したいと思います。
ServiceNowというと、サポートデスク等で利用されるインシデント管理(チケットシステム)を思い浮かべる方が多く、インターネット上にも「問題管理」アプリケーションに関する記事が多く散見されますが、本コラムでは、IT資産管理の入口とも言える契約情報の管理からはじめようと思います。
以下のシナリオを想定して進めます。
・A社製品「サーバー機器a」を60万円で購入
・同、「24時間365日保守サービス」を5年間25万円で購入
・B社製品「基本ソフトウェアb」の5年間利用権を50万円で購入
最初はマスタ情報の登録から
会社名や製品名などの情報は、マスタ登録して参照利用するのが一般的です。ServiceNowにも、これらをマスタ管理するためのアプリケーションやモジュールが用意されており、メーカー情報は「組織」アプリケーションの「メーカー」モジュールに、製品情報は「製品カタログ」アプリケーションの「製品モデル」モジュールに登録して管理します。
(1)
「組織」アプリケーション⇒「メーカー」モジュールを開き「新規」をクリックします。
(2)
管理したい情報を入力して「送信」をクリックします。本シナリオでは、製品の「メーカー」としてだけではなく、購入先の「ベンダ」として、また保守「ベンダ」としても登場するため、両方ともチェックを入れています。同様にB社も登録します。これで、メーカー情報が登録できましたので、次に製品情報を登録します。
(3)
「製品カタログ」アプリケーション⇒「ハードウェアモデル」モジュールを開き「新規」をクリックします。
(4)
同様に、管理したい情報を入力して「送信」をクリックすれば良いのですが、製品情報の登録には2つの注意事項があります。
1つは「メーカー」フィールドについてです。このフィールドは、右側の虫眼鏡アイコンをクリックして、先ほど登録した内容を参照入力する必要があります。つまり、メーカー情報を先に登録しておく必要があります。
もう1つは「モデルカテゴリ」フィールドについてです。このフィールドは、新規登録時のみ設定可能なフィールドにも関わらず、後の構成情報の管理に影響します。つまり、「構成管理」アプリケーションのどのモジュールを使用するのか先に設計しておく必要があります(後述)。今回は「サーバー機器a」には「Server」を選択しています。
(5)
続いて、「製品カタログ」アプリケーション⇒「ソフトウェアモデル」モジュールに「基本ソフトウェアb」を登録します。こちらは「モデルカテゴリ」フィールドには「Software License」が自動選択されます。
これで、マスタ登録は完了となります。
「モデルカテゴリ」フィールドとクラス
「モデルカテゴリ」フィールドは構成情報の管理に影響する、と書きましたが、正確には「CIクラス」と呼ばれる、モデルカテゴリに紐付いている値が関係しています。この値、実は「構成管理」アプリケーションのモジュールのテーブル名となっています。
(参考)
前述の「サーバー機器a」は「Server」を選択しましたので、構成情報は「サーバー」モジュール(テーブル名:cmdb_ci_server)で管理することになります。逆に言えば、とあるIT資産の構成情報を「サーバー」モジュールで管理するなら、そのモデルカテゴリには「Server」を設定する必要があります。つまり、どの構成情報を管理するのはどのモジュールと、予めを決めておく必要があるのです。
しかし、構成情報を管理するモジュールは初期状態でも約100個あり、ServiceNowの知見なく設計するのは困難です。そこで本コラムでは、IT資産の細かい振り分けは行わず、以下の6つのモジュールに集約する形でご紹介して参ります。
・ソフトウェア関連⇒「ソフトウェア」モジュール(cmdb_ci_spkg)
・PC関連⇒「コンピュータ」モジュール(cmdb_ci_computer)
・ネットワーク関連⇒「ネットワーク機器」モジュール(cmdb_ci_netgear)
・サーバー関連⇒「サーバー」モジュール(cmdb_ci_server)
・仮想マシン関連⇒「仮想マシンインスタンス」モジュール(cmdb_ci_vm_instance)
・仮想サーバー関連⇒「サーバー仮想化」モジュール(cmdb_ci_virtualization_server)
※仮想環境については別途、掘り下げたいと思います。
なお、クラスには「CIクラス」の他に「資産クラス」というものがありますが(参考画像)、こちらは「資産管理」アプリケーションのご紹介の際にご説明いたします。
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